水曜日

copipe

“たとえば人力車に乗って日本見物していたハーンは、その俥屋の事をこう記す。

「間違いなく彼は、忍耐、辛抱、そしてうまく客につけこむ力を備えた
典型的な車夫であろう。その証拠に、私はすでに彼に法が定めた
料金以上を支払わされてしまった。
忠告はされていたものの、余計な心づけを渡さずにはいられなかった。

かじ棒の間で速足で駆けていく、自分の前で疲れも見せずに何時間も
上下に揺れる馬代わりとなった人間を初めて目の当たりにすれば、
哀れみを寄せずにはいられなくなるだろう。
しかも人並みに希望や思い出もあり、情けも物もわかるこの俥屋が、
たまたま優しい笑顔を見せ、こちらの些細な好意にも限りない感謝を
大っぴらに見せてくれようものなら、哀れみは同情へと変わり、
思わず自分の事はさておきたくなるものだ。

おびただしい汗を流す姿も、それと無関係とはいえないだろう。
動機や筋肉のつれはもちろんのこと、悪寒、充血、胸膜炎も大丈夫かと
思わず気遣ってしまうからである。彼の衣装はびしょぬれである。
小さな空色の手ぬぎいで顔の汗を拭っている。彼は竹の小枝とそこに
とまった雀の絵が白く染め抜かれた手ぬぐいを手首に巻いて走ってゆく。」

俥屋一人だけでこの描きっぷり。もうご馳走としか言いようがない。

さらに言葉が通じないので面白くなってくるんだけど、その通じない事も
ハーンには鮮烈な体験なようで、様々な事柄が実に事細かく記され
そのすべてにいちいち感動。読んでるこっちも嬉しくなるほど。

目的地へ行きたいハーンは言う。旅館のオヤジに教わった魔法の呪文

「テラ へ ユケ!」

普段浅草とかで人力車鬱陶しいなコノヤロウと思ってる俺ですが、
これを知ったらとりあえず俺も人力車乗って、同じ呪文を唱えてみたい。
浅草寺は目の前だけども。”

- 2月第2週 G75のテーマ週報: 直撃!地獄日報6 (via fyfyfy)