“タンスの冬着の下から ナフタリンの匂いのしみついたシューリッヒ星図が出てきた 一九二八年十月 発見と共に突然失踪したクロメリン彗星の軌跡が 冬着の下にかくされてあったとは ガウスの天体力学も 刑事も見落としていたホシだ 新聞の科学欄の十一段目の少年池谷薫は クロメリン彗星の軌跡を推理し 算数し 捜索するために 屋根から夜空にかけて 一万マイルの 追跡をはじめる さびしい天体望遠鏡のおとうとよ 暗い天球に新しい彗星を一つ発見するたびきみが地上で喪失するものは何か?”— 寺山修司 / ロング・グッドバイ (via hainooto)