“生命は、体内ではゴミを食い尽くし、体外ではゴミを汚れといっしょに振り落とすシステムを身につけた。ほれぼれする複雑さだ。
で、この、複雑さが「狂う」ときがある。その代表が、がんだ。
体の外にいる、皮膚の細胞は、ばんばんはがれおちてもいい。外にそのまま消えていける。
体の中にいる細胞の場合には、死ぬときにおそうじ細胞がきてくれないとこまる。
がんでは、これらの法則が乱れてしまう。
CTやMRIといった画像システムで「がん」をみると、がんが作るかたまりのなかが「異常に死んで、ゴミまみれになっている」ことがある。「壊死(えし)」とか、「壊死物質の蓄積」などという。がん細胞が異常に増える過程で、新陳代謝した古いがん細胞を捨てるシステムがないから起こることである。
正常の組織の中に壊死があらわれることは基本的にありえない。だから、放射線科医をはじめとする「画像をよみとく医療者」は、この「壊死を読み取ろうとする」。
がんそのものだけではなく、「異常に細胞が死んでいるところ」を見極めることが、診断にも役立つわけである。”
- 脳だけが旅をする: 病理の話(160) (via yellowblog)