月曜日

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臨床の現場でのグレーゾーンというのは、たとえば以下のようなものです。

外来で診る頭痛の多くは生命の危険のないものです。頭部CTを撮影しても病変はうつりません。軽度の頭痛の患者さんが「心配だから頭部CTを撮ってほしい」と希望したとして、問診や診察によって頭蓋内病変を積極的に疑う所見がなければCTは必要ありません。コストや被曝の問題から、ホイホイとCTを撮ってはいけないということになっています。

ですが、その患者さんが、「最近、友人がくも膜下出血で倒れた。自分もそうなるのではないかと心配で心配で…」と訴えたとしたらどうでしょう。これも教科書的な対応をするならば、不安を十分に傾聴し、CTを撮る必要性が乏しいことを十分にご説明し、ご納得していただくというのが筋です。

ところがですね、はじめからCTを撮る気で来院された患者さんが、「CTは不要である」といくら説明されたところで、ご納得するとは限らんのです。そして付添いのご家族が「そうは言っても不安だから検査してもらいたい」とか言いはじめるんです。こういう場合、私はCTを撮ります。コストは不安を解消するための必要経費、被曝の問題があってもごくごく小さなことです。

これ「ホワイトゾーン」じゃないですよね。「CTを希望する患者さんに対して、CT撮影群と対照群を比較して、前者のほうが不安が解消されQOLが高かった」なんて研究はたぶんありません。かなり白いところではありますが、グレーゾーンです。少なくとも医師は、「不安解消目的にCTを撮るのは完全にホワイトじゃないよ」ということを自覚しながらCTをオーダーしなければなりません。

さらにもうちょっとだけ黒いほうに近いのは、「くも膜下出血を見落としたら訴えられるからCTを撮ろう」とか「十分に説明する時間がないから、とっととCTを撮ろう」とか、そういうケースです。これは現実的な妥協の産物です。これをダメと言い張ったら現場は回りません。しかしながら、問題意識がないのも良くありません。


- 「ニセ医学」についての本を書きました - NATROMの日記 (via rpm99)