局所的にホットな領域も存在する。海賊版論文の共有だ。ここでは2つほど紹介しておこう。
1つは「Sci-Hub」というカザフスタンの大学院生アレクサンドラ・エルバキアンが立ち上げたダイレクトダウンロード可能な論文の検索エンジンだ。カザフスタンの大学では先進国の大学のように好きなだけ論文を読める環境は整っておらず、個人でオンラインサービスを利用しようとしても論文1本につき32ドルを支払わなければならない。もちろん、研究を行うためには1本の論文ですむはずもない。貧しい国の研究者が富める国の研究者以上に高額なコストを掛けなければ研究すらままならないという研究者の「南北問題」に業を煮やして、Sci-Hubを立ち上げたというわけだ。
知識の共有を是とする、著作者である研究者たちから大きな批判の声が上がることはなかったのだが、エルゼビアを始めとする学術出版社は徹底的にSci-Hubを潰すために動き始めた。すでに複数のドメインが失われ、米国では差し止めと約17億円の損害賠償の支払が命じられている。
もう1つは、研究者版Facebookともいわれるソーシャルネットワーク「リサーチゲート」だ。リサーチゲートは単に研究者同士の繋がりを作るだけでなく、自らの研究成果として論文をアップロードできるレポジトリとしての役割を果たしていた。研究者自身には望ましい機能であっても、やはり学術出版社の怒りを買うことになってしまった。学術出版社からの圧力に屈したリサーチゲートは170万本の論文へのアクセスを制限したものの、訴訟を抱えることになってしまった。
いずれもすでに追い詰められている感はあるのだが、決して(潜在的)利用者のデマンドを満たして解決に向かっているわけではない。少なくとも、途上国や新興国が発展を遂げる過程で、同様のサービスがまた生まれてくるだろう。
”- 日本では知られていない海賊版の新潮流 – P2Pとかその辺のお話R (via futureisfailed)