今日はバイトで面倒な客が多かったこととと社員の態度が適当すぎることに腹を立てていた。家に帰り、夕飯を食べてもその怒りは収まらなかった。両親が寝静まったあと、こっそり家を出た。イヤホンから大音量でアジカンを流しながら夜道を歩く。わたしは突然「酒を飲んでみたい」と思った。一回もそんなこと思ったことなかったのに。酒を飲んだらむしゃくしゃした気持ちをどうにか出来ると思ったのだ。そして近所のファミマではなくわざわざ二十分かけてほとんど行くことのないミニストップへ歩いた。店員はそこそこ若めの明るい髪色をしたぽっちゃり気味の女だった。適当に甘そうなやつを選んでレジへ向かう。正直、買えると思っていた。自分で言うのもおこがましいと思うけれど同じ年代の中でも大人っぽい方だと思っていたから。まあ、案の定「年齢確認できるものお持ちですか?」ときかれて出せる訳もなく「あっ今ないのでパンだけいいです」と大して食べたくもなかったメロンパンだけを袋に引っさげて家に帰った。今どき酒の自販機ってないんだなあと駄菓子屋のタバコの自販機を見て思った。結局家の一番近いさびれた自販機で百十円の三ツ矢サイダーを買った。わたしはまだ酒も煙草も買えない未成年。法に縛られている十代。メロンパンをもそもそと食べながら、やっぱり酒を飲むことを諦めきれず冷蔵庫に冷やしてある母のビールを開けた。「まずい」思わず口に出してしまった。大人はこんなものを仕事の疲れを癒すために飲んでいるのかと思ったら、まるで違う人種のように思えてきた。わたしはまだまだ子供で、甘い甘い三ツ矢サイダーがお似合いだ。